2013年12月9日月曜日

リバーシブルドラマ

東野圭吾ミステリー 赤い指〜「新参者」加賀恭一郎再び!


これはいい出演者に恵まれているので、深みのあるドラマに仕上がっていると思う。
しかし、解読すれば全く別の事件に見えてくるというリバーシブルドラマになっている。
つまり、1つで2度おいしいってやつです。



<事件の真相>
あまりにリアルなので、実話であることは確実なのだが、証言を元に話を組み立てている状態では隠されていることに気づき難いかもしれない。
注目して欲しいのは、女の子が殺された場面が見えないことだ。
そして、その家の息子が荒れた原因が不明であること。
更には、過去に父親が死亡しているのだが、その原因も不明だ。
冒頭には嘘をつく言い訳を並べ立てている。
つまり、この話は嘘で繋ぎ合わせたという意味だろう。
それだけ言えないことなのだ。

息子がゲームセンターで補導されたというのは、家に帰りたくない理由があるからだ。
その理由を昭夫は知らなかった。
恐らく、息子と殺された優菜は仲良かったのだと思う。
しかし、家に連れてきたのは息子の直巳ではない。
じゃ、誰が連れてきたかだ。
それが真犯人なのだが・・・・前原家の者ではないのだ。

直巳が殺したと言ったのは、母親の八重子だ。
優菜を殺したのは八重子ではないが、その原因を作っている。
息子を持った母親で妙な行動をする者は、息子の傍に近寄る者をすべて殺すケースが多い。
家に寄り付かなくなった息子を繋ぎとめるために、八重子が取った手段とは・・・。

八重子は実行犯に連絡をして、優菜を家に連れてきてもらったのだ。
その実行犯というのが「春美」だ。
春美は優菜を直巳の目の前で殺したのだ。
母親の言うことを聞けと言って・・・・。
恐らく、実際は優菜と直巳は同年代で付き合っていたのだと思われる。
これはよくあることなのだ。
若い男性の精神が捻じ曲がっていくのは、そのようなことが目の前で起きるからだ。
そして言うことを聞くようになる。

前原家では、昭夫の父親も殺されている。
赤い指は手に血が付いたからだろう。
それは薬で血を吐いた可能性が大きい。
それを「口紅を拭こうとしたのよ。」と言う。
つまり、父親を殺したのは政恵なのだ。
この家で連絡し合っていたのは女だけで、追い詰められているのは男だけだ。

更には、加賀恭一郎と父親の関係。
これも同じで、誰かからの脅迫によって会うことを禁じられているのだ。
だから、誰かを介してでなければ関わることもできなかったのだ。
会いに行かないことが最大のできることなのだ。



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