2013年11月17日日曜日

推理オタクは好んで見る3


古畑任三郎 第三部 01
<若旦那の犯罪>

犯人がこのタイトルを付けたとなると、「若旦那」は一切関係無いと見ていいだろう。

本編とは関係ないところで、クマのぬいぐるみを乾燥機にかけているシーンがある。
何故乾燥機の中で回っていたのか・・・。
古畑が推理しているが、実は本当のことは話していない。
ぬいぐるみを取りに来た人も嘘を言っている。
では、実際はどうだったのか・・・だ。

このぬいぐるみ・・・どこかで見たことないだろうか。
そう、あのホテル重役殺人事件の時、タヌキじゃなくてぬいぐるみが落ちていたのだが、その時のものだ。
確かに泥だらけだろうし、汚れていれば洗うというのは自然なことだ。
しかし、ボロボロだった。
洗ってもどこか意味が無いような気がしたのだが、わざわざ第三部冒頭で出すくらいなら何かあると思う。
とすれば、たぶん血が付いていたんだ。
もしかしたら、死体と一緒にトランクに入っていた事件当時のぬいぐるみなんじゃないだろうか。
血が付いていたのなら、そのまま現場に放置しておけば発覚の危険がある。
スタッフでそのぬいぐるみを探した人がいたのだろう。
だからきれいにして返したことにしたのだ。
つまり、殺害現場の撮影に使われた時は、まだ被害者の血が付いていたのである。
それを持って来た人は、雑誌の編集者と繋がりがある人だ。

さて、本編では落語家の話だが、事実はそのとおりではなさそうだ。
「煮干」は推理の中で意味を成さなかったが、似たものが他の回で使われている。
「かつおぶし」だ。
つまり、島倉千代子殺害事件の犯人を指すのだ。

被害者が誰なのか。
ヒントになるのは、メガネとお笑いのネタ、そして2人でやっていた節があること。
このドラマは1999年に制作されているので、それ以前の事件ということになる。
更には、殺害されていることは公表されていないということだ。
そして、第三部の第一話を飾るには相応しい重大事件だと情報提供者は思っている。
もう・・・ある人物の顔が浮かんできましたね。

こんな重大な事件をドラマにするなんて、余程解らないように作り上げていないと出せないだろう。
その自信があったのだ。
だからこそ、こうやって私は見る事ができる。

解らないようにするためには、描いている内容とは別に実際に誰かを罠に嵌めてそちらへ意識を持っていけばいいのだ。
この話では、雅楽役(市川染五郎さん)が罠にかかっている。
何故犯人役を引き受けたのか・・・。
誰がそれを言い出して、強制したのか。
恐らく「煮干」である。
若い燕を欲しがったのだろう。
脅迫もしていると思う。
でなければ、あの役は引き受けない。

さて、この話の元になった事件の被害者だが、被害者のイメージが無かったので初めは思いつかなかった。
しかし、アルコール性肝硬変で亡くなっている。
重症になると、食道静脈瘤の破裂による吐血という症状が出る。
恐らく、それと同じ状態だったので、その病名が付いた。
しかし、吐血なら薬物でも起こり得る。
殺害されたのであれば、家族の中に犯人がいる。
彼は、どこか世離れした遊び人を装っていた。
それは、誰かを守るためにわざと自分でそうしていたのだ。
もちろん、相方のことだが、その相方は奥さんを人質に取られていた。
2人で奥さんを守るために、口を閉じて言いなりになっていたようだ。
しかし、2人いれば片方だけ殺すということはできない。
両方一度に殺した方が、発覚しにくいという犯罪鉄則がある。
つまり、この時2人同時に亡くなっている可能性が窮めて高い。
もちろん相方の奥さんはその前に殺されていたと思う。

私は、不思議だったのだ。
あんなに日本中を沸かせた漫才ブームが、突然跡形も無く消えてしまったことを・・・。
その裏には、芸人さんたちを陥れる罠が張られていたのではないだろうか。
彼が残したネタ帳は、今でも犯人の手に握られている。




古畑任三郎 第三部 02
<その男、多忙につき>

この回は、完全にある人物についての当時の近況を描いている。
ヒントは「由良」の名前。

冒頭での議員の記者会見に関する一連の流れを見ると、撮影では思ったようにやりなさいという助言どおりにやったのに、出来上がったものが酷いものだったので批判が集中したという事態になった経緯が描かれている。
これに当て嵌まる回は一つしかない。
この時点では、別に誰が殺されたということはなかったのだが、撮影時における事件のきっかけとなってしまっている。

前もって知っておいた方がいいのは、「由良」で表される人物がこの回に出演し自ら演技する機会はごく僅かにする予定だったということだ。
だからこそ、最後のホテルのイルミネーションが点灯している間、「由良の部屋」には誰もいなかった(撮影時には本人不在)ということになっていたのだ。
つまり、それを考えた者は、代役を立てるつもりだったと考えられる。

さて、「由良」という人物・・・・見れば解るとおり酷く忙しい。
息つく暇も無いというのはこのことだろう。
ひっきりなしに予定が入って、動き回る。
こんなに忙しくては体を悪くしてしまうのではないかと心配になる。
そして、予想通り倒れてしまうのだ。
しかし、それは忙しかったからではない。

朝6時半、古畑がホテルロビーに入ってくる。
酷くダルそうに歩いている。
設定時間を早朝にしたのは、ダルそうにしていても変じゃないようにしたかったからだろう。
その後、休みたいと言って立ち上がった時によろけている。
もうお解かりだろう。
「由良(ゆら)」の意味が・・・。

たぶん薬だろう。
ということは、指示したのは批判を浴びていた母親殺しの犯人と同一人物ということになる。
しかし、その犯人はこの撮影現場にはいないので、共犯者がいるということになるだろう。
問題は、そのつもりでシナリオができていたことだ。
気になるのが、ドラマの企画を考える場面で由良と秘書の品田が相談している部分がある。
もしかしたら、この回のシナリオはシナリオライターと品田が相談しながら作ったのではないだろうか。
つまり、品田が指示を伝えていると思われる。

撮影は一時中断したが、古畑の回復を待って再開されたようだ。
顔色は良いみたいなので、大事には至らなかったのだろう。
更には、休みが取れたので元気いっぱいである。
しかし、視聴者が心配するかもしれないということで、次の回のオープニングでは風邪を装わせている。
でも、顔色はすこぶるイイ。

まあ、今回は死亡した事件の話ではなかったので良しとしようか・・。
それにしても、俳優というのは凄いなぁといつも思う。
あれだけたくさんの台詞をスラスラと言ってのける。
頭に入ってなければできないことだ。
「古畑」も「由良」も演じるのは大変なことではないかと思う。
やっぱり優秀な役者さんの演技は、安心して見ていられるね。



古畑任三郎 第三部 03
<灰色の村>

この回は、簡単に解読できた。
親方様というのは、宗教団体の教祖。
その教祖は、存在しない。
周りが全部自分らのために動いていたのだ。
だから、最後は教祖一人の責任として罪を逃れている。

恐ろしいのは「雛の誉れ」という酒。
「雛」は子供のこと。
つまり「雛の誉れ」は子供のエキスを意味する。
それを脅迫のネタに東京の警察を脅して、金を送らせる計画だったようだ。

しかし、ある女性がそこにいるだけで、その土地のやり方人間関係が崩れると思った者が女性を潰しにかかったのだろう。
村としては、一致団結していないとお金が手に入らない。
どうしても、多額のお金をせしめるために、村中で嘘をつくという集団行動を起こしたのだ。

最終的に、古畑は首を縦に振る。
そこから日本の地獄が始まっていった。

1999年に何か起きると言っていたのは、このことだったんだね。
でも、今はかなり事情が違う。
あれから14年経った・・・。
いろいろあったけど、心配事はもうほんの僅かだと思う。




古畑任三郎 第三部 04
<アリバイの死角>

この回の初めは、古畑の目と視聴者の目を意識した二重構造で作られている。
びっくりしたのは、子供の泣き声。
どう聞いても、生命に危険が及ぶような声に聞こえた。
子供はそういう声を作って出すことはできない。
大人でもたぶんできないだろう。
しかし、古畑が待合室で待っている間は、その声は聞こえてないのだ。
つまり、後でその声を録って入れたのだ。

この場合、古畑の感覚とは違う感覚で視聴者は見てしまうだろう。
後で見せられる写真も視聴者にしてみれば、もしかしたら映像のものとは違うものなんじゃないかと思い違いをしてしまうと思う。
何故こんな手のかかることをするのかと言えば、前回の脅迫ネタでどんどん進めてしまって周りに言うこと聞かせる体制を作りたかったのだろう。
しかし、やはり古畑の目は恐ろしいのだ。
後で編集して、残虐な部分は視聴者だけが聞くことになった。

ところで、殺人事件をドラマにするのに、あの変装はどうかと思う。
どうでもよかったのか?
宝塚出身じゃないのか?
あの変装は・・・・ヒドイ。
おかげで、殺害経緯とかどうでも良くなってきたじゃないか。
まさか・・・それで古畑が出て来なかったのか?

おまけに話の筋がおかしい・・・。
シナリオライターが書いていないようだ。
女優本人に任せているように見える。
演技も酷いが、古畑を楯に隠れ蓑にしてる。
何故古畑は休暇中に歯医者に行っているのか、もし治療に行っていたならその後に食事に誘ってはならないだろうし、よく噛めとか治療後なら言ってはいけない。

自供ネタは核心から離れている。
それは犯人が安心して演技できるようにだろう。
母親殺害事件の時に、素をそのまま出してしまって失敗して批判が集中したと聞いて、そうならないように必死で平静を装うよう気をつけたのだと思う。
でもかえって棒読みの不自然な演技になってしまったようだ。

犯行の核心は歯医者と助手の関係だ。
その2人の仲はとても良かった。
でも犯人としては「自分は女優だ。なびかないわけがない・・・・。」
そういう自信があったと思う。
しかし、体よく断られたのだろう。
こういう場合、女優としてのプライドが許さないのだ。
その思わせるくらい丁寧にきれいな治療をしてくれた先生だったと思う。
何せ、犯罪者の歯の形は普通の歯の形と違うのだ。
厚みがあって色が黄色い。
それを隠すために必死で治療するので、犯罪者の歯はとてもきれいなのだ。
その代わり、骨格は元のままなので、どんな歯を持っていたかは歯科医なら解る。
つまり、隠しておきたい証拠とその治療手段をどうしても自分側のものにしておきたかったのだろう。
同じケースが他の女性歌手で成功している・・・それも殺意に拍車がかかった。

もし、2人を引き裂くために助手の女性を呼び出して「先生は私と付き合っているの。あなたは用済み。」なんて言ったとしたら、彼女はショックだろう。
それが先生の方に伝わらないわけがない。
反対に悪く言われてしまって、恨むようになるのは必然だ。

2人とも殺されている可能性が強いが、凶器は毒菓子だろう。
治療のお礼というのは、この場合酷く自然なことだ。
それぞれ自分の部屋で死んでいるとしたら、発覚していない場合、お金も取られている可能性が高い。
はっきり言って、情愛とか嫉妬とかの言葉は似合わない内情だと思う。

私は、映像を見て見つけた僅かな証拠を元にしているので、推理できるのはここまで。
しかし、カフェの店長のように、犯人の事情を知っている者がいるようだ。

最後に言っておきたいのは、こんな馬鹿げた理由で、腕のいい歯医者が激減してしまったような気がするのだ。
私も偽歯科医に酷い目に遭わされた者の一人だ。
優秀な歯科医を探すことができない。
恐らく、取られているからだ。
歯は大事だ。
周囲が目を光らせて、優秀な歯医者を取り返さなければいけないだろう。




古畑任三郎 第三部 05
<再会>

この回で一番怪しいのは、妻の香織だ。
友達に編集者がいる。
つまり、今回の話は香織役の人が作り上げていると思う。
本物の犯人は、必ず配役や役柄が容疑者から外されるように作られる。
実話が入っているなら、そこを中心にヒントが隠されているだろう。

まず、ファックスで呼び出したという話だが、元々呼び出す理由が無い。
これは、この回のドラマを作り始める時の言いだしっぺが香織だからである。
人間関係をみると、香織が周りを振り回しているように見える。
大体、目の前で不倫をしている妻を見たら、普通誰でも黙ってはいないだろう。
夫自ら不倫してないにも関わらず黙っているとしたら、妻から脅迫を受けているということになる。
普通にこのシチュエーションは有り得ないデタラメなのだ。

では、何が元の話なのか。
古畑と安斎の関係はギクシャクしている。
犯罪者はよくターゲットを陥れるために、仲のいい人と仲違いをさせるよう仕向けることがある。
わざわざ古畑を呼び出しているので、犯人がそれを考えた可能性が高い。
それと同じように、斉藤と安斎もギクシャクしている。
もちろん奥さんと不倫しているからだが・・・。
今回の犯人は、こんな風にどっちにもいい顔をしながら、双方を対立させようとするのが得意なようだ。

そして、不倫現場などそんなに長く映さなくてもいいのに、無駄と思えるほど長く映している。
恐らく、本人の指示だろう。
この話で一番いい思いをしたのは香織だけだ。
彼女は何を根拠にこの話を持って来たのか。

現場は、安斎のセカンドハウスだろうか。
そうなると、小説家という線は消える。
どう見ても、重役か医者くらいの職業だ。
その関係の知り合いで、その家の家族を殺しているのではないだろうか。
それも細川茂樹の周辺の話になると思う。
その理由は、斉藤がどうなる運命だったかにある。

津川雅彦が初めから涙目になっているので、実際の現場で何か起こっていると思われた。
最終的に誰かを殺そうと銃を手にしている。
立場として考えられるのは、妻の不倫相手を殺すのが筋だろう。
本当に殺せとの指示が出ていたようだ。
結局は古畑が止めた形になったが、シナリオができていたということは罠に嵌めるつもりだったということだろうか。
何が目的か考えてみると、古畑と安斎の間の諍いが元で、古畑が恩を売る形を作ったと言えよう。
その手回しをしたのが香織だったというわけだ。

そのままいけば、斉藤は殺される。
そんなシナリオにしなければならなかったのは、古畑と香織にも関係があったということしか考えられない。
香織は斉藤を殺したかったのだ。
もちろん現実でなびかなかったからだ。
それは、彼の周辺で起こった殺害事件は、ちょっと前に香織が斉藤と一緒にいる女性を目撃し、その2人が酷く仲が良かったから壊そうと思ったのが原因だ。
しかし、行方不明になった相手を探すばかりで、香織をものともしなかったので、殺害の発覚を恐れて殺そうと計画したのだろう。
恐らく、一家を殺害している。
ドラマに編集者というキーワードが出てきているので、ホテル重役殺害事件の犯人に手伝ってもらったと思われる。

いったい古畑はどうしてしまったのだろうか。
倒れた時以来、釈然としない話ばかりになっている。
ヒーローを演じていたはずが、この時期からヒーローではなくなっていった。
まるで別のヒーローが現れて人気をさらっていったから、アンチヒーローになってしまったようだ。
初めは、罪を犯した犯罪者を理詰めで説得し、完全犯罪は無いという信念の元に必ず犯人を捕まえてきた。
それが「ニューヨークの出来事」で崩れ、「灰の村」「再会」では捕まえずに逃がしてしまっている。
もしかしたら、このままこのドラマは変わっていってしまうのだろうか。

実際、あらすじだけ読んでも、もう前の推理ドラマではなくなっていることが解った。
ネタが脅迫先から送られてきているようだ。
それはもう古畑のドラマではないのだから、実話としての重大事件はそんなに入ってないだろう。
残念だけど仕方が無いね。
これで終わりにする。


基本、この「古畑任三郎」も明治時代に書かれた「犯罪トリック推理ノート」があって、それを使ったようだ。


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